2012年06月09日

議決権行使書

区分所有法第39条第2項は「議決権は書面で、又は代理人によって行使
することができる」と規定しています。

集会に出席しないで、集会前に議事の賛否を記載した書面を提出して、
議決権を行使することを、書面による議決権行使と言います。

そして、その書面を議決権行使書といいます。

書面による議決権行使、又は代理人による議決権行使は、区分所有法上
の当然の権利でありますから、規約や集会の決議による定めがなくとも
行使できます。

逆に、規約や集会の決議をもってしてもその権利を奪うことはできませ
ん。

代理による議決権行使は通常は委任状によって権限を付与して行います
が、この委任状と議決権行使書の違いは、委任状が受任者の人格を見込
んで行使を依頼しているのに対して、議決権行使書は議案の賛否を直接
に表示する書面であることです。

議決権行使書の中には「保留」とか「棄権」という選択肢を設けている
こともあると聞きます。

議決権の行使とは賛成か反対かの意思表示で、「保留」又は「棄権」は
議決権を行使しないとの意思表示と捉えられますので、議決権行使書と
は言えず、好ましいものとはいえません。

議決権行使書で最も問題となるのは、これが出席者と数えることができる
か否かであります。

集会の成立には通常、出席者の定数を設けていますが、これが出席者数
にカウントされないと、総会の成立そのもの否定される可能性もありま
す。

更には、例え、出席者数にカウントされて集会が成立したとしても、議案
の賛成、或いは反対の議決権行使書が、それだけで決議に必要な数を超え
てしまうと、議決権行使書のみで議案の可否が決定してしまい、集会の
議論の余地がなくなってしまいます。

これらの不合理を認めつつも、次のように考えます。

賛成または反対のどちらかを記載した、議決権行使書は出席者にカウント
しても良いと思います。

しかし、「保留」「棄権」はそもそも議決権の行使とは認められないので
議論はあると思いますがカウントすべきではないと思います。

そうすると、ある時は出席者とカウントし、ある時は出席者とカウントし
ないとの批判も考えられますが、それは議決権行使書に賛否の明確な記載
の事実があるので、議長が恣意的に判断する余地は生まれませんので、
不都合はないかと思います。

従って、議長の不信任の動議の採決に当たっても、議案の性質上、これは
議案書には記載されていませんから、従って、議決権行使書には記載され
ることもありませんから、欠席者と扱うべきと思います。

元に戻って、議決権行使書の出席者扱いそのものも、様々な議論がありま
すので、規約に「出席者とみなす」旨を定めておくことが賢明です。

そして、議決権行使書には「保留」とか「棄権」等の欄は設けるべきでは
ないでしょう。

議決権を行使しない議決権行使書というのは自己矛盾だからであります。
posted by 橋マンション管理士事務所 | Comment(1) | TrackBack(0) | 法律/判例
この記事へのコメント
いつも興味深く拝見させて頂いております。
文中の議長の「不信任の動議の採決に当たっても、・・・欠席者と扱うべきと思います。」ですが、区分所有法の解説書によると「原則として総会を招集した区分所有者の一人が議長となる。ただし規約により別段の定めをすることができる」とあります。この場合は議長が理事長であることを想定しての不信任動議のと思われますが、たとえ通知がなくても決議できる旨の定めがあったとしても、不信任の動議が成立するのは、集会に全員出席した場合以外、どのような場合があるのでしょうか。
Posted by 今藤由利 at 2012年06月23日 19:57
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